「体験!科学実験」を通じた科学体験活動の実施~高校の部活動と科学コミュニケーターの連携した活動~

1.要旨  

 静岡県東部で、様々な立場の人が集まり、科学を楽しみ「科学する心」を地域全体で育む文化の醸成を目指し、毎年「体験!科学実験」という科学体験イベントを実施している。高校の部活動、科学コミュニケーターほかの協力のもと、2013年より沼津で開催しており、現在では高校生、一般科学団体、研究者ほか様々な立場から約25ブースの出展があり、多くの高校生ボランティアほかと協力して大会を実施している。本大会では準備も含め、体験する子供たちや保護者だけでなく、高校生や一般の出展者にとっても、科学を通じた幅広い交流の場となっている。

2.体験!科学実験

 「体験!科学実験」は高校の化学部顧問で静岡科学館る・く・るのサイエンスコミュニケーターでもある海野により2013年に始められた。近隣の高校の科学系部活動および、静岡科学館のサイエンスコミュニケーターほかが協力して少しずつ規模を拡大し、コロナ禍でも参加人数を制限し対策を徹底して継続して実施してきた[1]。現在は、プラサ ヴェルデを会場に、1000人規模のイベントとなっている(図1)。来場者の多くは小学生とその保護者であるが、子どもから大人まで様々な人が参加する毎年の恒例行事となっている。
 
図1.来場者数の推移
図1.来場者数の推移

3.参加者の声

 出展内容は化学、物理、生物、地学、数学分野ほか多岐にわたっており(図2)、ブース出展(写真1左)だけでなく、サイエンスショー(写真1中)、身近な科学の話題をわかりやすく提供するサイエンスぷちトーク(写真1右)なども行っている。沼津、三島を中心に、県東部だけでなく、静岡市や県外も含め幅広く来場者がある。体験した小学生、保護者はもちろん、高校生、一般の出展者からも貴重な体験になっていることが参加者の感想からうかがえる(図3)。
 
図2.多岐にわたる出展内容
図2.多岐にわたる出展内容
 
写真1.左:ブース出展、中:サイエンスショー、右:サイエンスぷちトーク
写真1.左:ブース出展、中:サイエンスショー、右:サイエンスぷちトーク
 
図3.参加者の感想
図3.参加者の感想

4.まとめ

 一般に小学生の頃に行った体験活動などの経験は、その後の成長に良い影響を与えることが知られている[2]。科学体験においても社会全体で生涯を通じて「科学する心」を育む環境づくりが大切だろう。静岡に科学を文化として醸成するために、静岡科学館では様々な取組を行っている[3]。サイエンスコミュニケーター育成もその一つであり、静岡科学館から多くのサイエンスコミュニケーターが育ち、地域で活動している。科学の祭典などの科学体験活動は、体験者のみならず、出展者である高校生にとっても大きな影響を与えるものである[4, 5]。「体験!科学実験」でも、参加した様々な人たちにとって、科学を通じた交流の場となっている。著者らは高校教員であるとともに静岡科学館のサイエンスコミュニケーターでもある。  今後も、このような活動を通じて、市民科学を通じたよりよい社会の形成を目指したい。

謝辞

 本事業は、「子どもゆめ基金」の助成(ID2520014ほか)により実施している。

参考文献

  1. 海野徑 (2023) コロナ禍のサイエンスイベントを振り返って. 日本サイエンスコミュニケーション協会誌, 13(2): 12-13.
  1. 株式会社浜銀総合研究所 (2021) 令和2年度「体験活動等を通じた青少年自立支援プロジェクト」青少年の体験活動の推進に関する調査研究報告書, 190pp.
  1. 高橋みどり, 池田博史, 長澤友香 (2011) 1B2-B3 地域の資源を利活用した科学技術文化の醸成への取り組み: 市民参画の基盤の構築 (インタラクティブセッション, 次世代の科学力を育てる: 社会とのグラウンディングを実現するために). 日本科学教育学会年会論文集, 35: 436-437.
  1. 月僧秀弥, 新村宏樹 (2025) 中高生のサイエンス・コミュニケーション講師経験の効果に関する調査の一考察. 富山大学教育学部紀要, 3(2): 1-5.
  1. İnce, E. Y., Kabul, A., & Diler, İ. (2022) The effect of science festival on participants' attitudes towards science. Journal of STEAM Education, 5(1): 88-99.
 
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