沼津市少年少女発明クラブの5年 (Five years of Boys-and-Girls Invention Club, Numazu)
1.発足から5年の歩み
令和2年5月に、沼津市内の子どもたちを対象に「沼津市少年少女発明クラブ」が発足してから、5年が経ちました。「発明クラブ」は、特許庁管轄の発明協会創立70周年の記念事業の一環として、1974年にスタートした事業です。現在、同様のクラブは、全国ほぼすべての都道府県にあって、あわせて1万人近くの子どもたちが参加しています。静岡県東部では、三島市に次いで2例目になります。
2.子どもたちの学びと成長
子どもたちは、勉強でも工作でも、誰かに教えてもらいながら上達していきます。乳幼児の頃は、のびのびと自由に発想していたものが、小学校の中高学年にもなると、「教えてもらう」ことに慣れてきます。ものを作るときにも、初めから洗練されたお手本を求めるようになってきます。お手本を参考にして良い品質のものを作ることは、決して悪くはありませんが、こうした作業ばかりやっていると、これまでだれも考えたことのない画期的なアイデアはなかなか生まれてこないでしょう。
こうして、私たちは独創的なモノづくりが苦手な国民になってきたのかも知れません。そのような中で、子どもたちが自由に発想し、楽しくものを作る場を設けたいと願う人たちの間で発明クラブが誕生しました。発明クラブは、学校とは違い、自分の意思で集まった子どもたちのための課外活動の場です。「工作がしたい」、「発明がしたい」といった意欲をもった子どもたちが、のびのびと楽しみながら活動をしています。

3.支える大人たちの工夫
沼津市少年少女発明クラブの活動を支えているのは、市民のボランティアです。このボランティア自身も、教えてもらいながら知識や技術を身につけてきたことにはかわりありません。ですから、「子どもたちの自由な発想を伸ばしていこう」と言うのは易しいのですが、「どうやって?」となると、なかなかむつかしいものです。
「ペットボトルロケットを作って飛ばしてみよう」というテーマがあったとします。ペットボトルにもいろいろあります。各種のペットボトルを用意して、工作道具類もいろいろ取りそろえて、ロケットが飛ぶ原理を教えてやって、さあ、これらの材料でこういうロケットを作ってごらん、とやりたいところですが、これでは何時間かかっても飛ぶロケットはできないでしょう。
子どもの興味が続く時間内に、そこそこの成果を上げるには、ある程度の「導き」は必要です。そのさじ加減が難しい。わたしたちオトナは、どうしても教えすぎてしまう傾向があるようです。私たちのペットボトルロケットも、作り方をチャートにして、それを見ながら作れば絶対に失敗しないように手はずを整えています。(それでも失敗しますが…。話を聞いていない、説明書を読まない子が多いから。)
4.地域に広がる意義
こうして発明クラブを続けていて、気付いたことがあります。指導者がテーマを練る作業は、それこそ試行錯誤の連続なのです。同じ思いを持った者同士で、あれこれやってみて、うまくいく道筋を見出す作業が、とても面白いのです。
前述のペットボトルロケットの「発射装置」は、自転車の空気入れと100円ショップで手に入るパーツを使いながら、指導者が工夫してこしらえたものですが、毎年改善を重ねていって、ことしの装置は、発足当初のものより格段に洗練されたものになっていました。
発明クラブの本来の目的である、自由で独創的な発想を楽しんでいるのは、指導者たちでした。こうして、モノづくりを楽しんでいるオトナに接した子どもたちには、自分で考えながら工夫をこらしていく楽しさが、少しは伝わっていくでしょう。それが、沼津市少年少女発明クラブの大きな存在意義なのかも知れません。
「沼津市少年少女発明クラブ」公式ウェブサイト
- 実際の活動の様子など、ブログがございますのでご覧ください。
- 参加したい子どものための募集要項が記されています。
- 私たちと一緒にモノづくりを楽しみたいオトナの方は是非ご連絡ください。
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